広島と夏目漱石を繋ぐ隠れ家

楽山文庫

広島と夏目漱石を繋ぐ隠れ家

何かのお店だろうか、それともどこかのオフィスだろうか。

山陽自動車道・広島東ICを降りた福田という地域。

大型のショッピングモールや家電量販店があるわけでもない、広島市東区の端に位置する小さな町だ。

戸建の住宅が並ぶ一画にひっそりと建つシックな建物があった。

楽山文庫外観

フと見ると敷地に建つ掲示板には「楽山文庫」とある。

後で調べて解ったのだが【文庫】とは“ふみぐら”を音読みした語で、書物などを入れておく倉庫・書庫という意味らしい。

マニアックな本屋かと思ってしまった無学な筆者だが、好奇心だけは一人前、少しだけ勇気を出して声を掛けてみた。

温厚そうな雰囲気が漂うラフなスタイルのおじさん、楽山文庫の主人、松本洋二さんだ。

楽山文庫の主人 松本洋二さん

長年教員を務められていた松本さん、自宅に貯まっていく書物を見ては「どうしよう…」と。

物凄く良い本や貴重な本であっても、残された者は困ると長い間考えていたそうで、退職を機会に奥様の理解もあって2009年この場所に土地を買って建築したらしい。

後述する事になるが、つまり楽山文庫は今の松本さんが行っている活動の拠点とか、ましてや人を集める為とかではなく、あくまで個人的な書庫・戸建の書斎なわけだ。

すでに「うらやまし過ぎる」と感じた方(特に男性)も多いかと思うが、教員時代に縁ができた西野達也・奈美ご夫妻が設計し、広島県産の間伐材も多く利用しているこの建物は『JIA中国建築大賞2010で優秀賞』・『第14回ひろしま街づくりデザイン賞で部門賞』を受賞されている。

“素敵過ぎる男の隠れ家“ 色んな意味でため息が出た気分だ。

楽山文庫内部

楽山文庫は夏目漱石に関する研究書を中心に蔵書している。

昔、教科書で「それから」を読んでいて、その後仕事柄改めて漱石の教育論はどうなんだろう?と興味を持ったそうだ。

漱石が好きな理由を聞いた私に、東洋的な倫理観がある漱石は日本が西洋化していく中で自我に目覚めた社会のねじれの中、新しいモラルを追及した。「広い意味で人生の教師だった」と答えてくれた。

そんな松本さん、今は多くの活動をされている。

地域の子供向けに楽山文庫での論語素読。公民館での月例「大人の楽しい国語教室」に「山水論語会」そして今年の6月には「漱石と広島の会」発足に携わり、広島と漱石の関わりについて情報を収集・整理しまとめて、広島の市民県民に発表するそうだ。

漱石自身は2回広島に来ており、広島におけるゆかりの人物との交流は「意としたかは別として広島の文化に非常に大きな影響をあたえた」とも。

自身の隠れ家から始まった楽山文庫が地域との結びつきに繋がり、現在の公民館活動や広島と漱石にまつわる取組みなど、教員を辞められた後も忙しく活動されている松本さん。

これからも格好良いオトナとして走り続けてほしい。

(文:masa / 写真:楽山文庫のサイトより)

【楽山文庫の情報】

名称の由来:「論語〜知者楽水・仁者楽山の一節から」

住 所:広島市東区福田4丁目

開館日:松本さんが居る時

Facebookページ:https://www.facebook.com/pages/楽山文庫広島/1378451519082066 

masaのfacebookページ:https://www.facebook.com/1927sun

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