「鉄板で食べてほしい本当の広島のお好み焼き」
店の前を通ると香るソースの匂いで思考回路が反応してしまうのは 、広島で生まれ育った人間の性(サガ)だ。
思い返すとコンビニがまだ珍しかった頃には今より頻繁に食べてい たと思う広島県民や出身者の方は筆者に限らず少なくないのではな いだろうか?
それだけ心身共に染み込んでいる、正しく広島のソウルフード “お好み焼き”
その昔ながらの味を作り続けて40余年、今日の主人公 “お好み焼き 大好(だいよし)の山井さん。
昭和44年、 お姑さんの希望で始めた頃この辺りには意外にもお好み屋さんは一 軒も無かったそうだ。
「今みたいにオタフクの研修なんて無かったから見て習ったんよ」
お姑さんは広島市南区段原でお好み焼きを習われたのだが、 原爆が落ちた後も被災が激しくなくて済んだこの地域には昔からの スタイルが残っていたそうだ。
「山井さんの思う本当の広島のお好み焼きってどんなイメージですか?」
答えは簡潔明瞭だった。
「安くておいしい事ですよ」
お姑さん達と数人で切り盛りしていた頃は、 お好み焼き以外にもタコ焼きやおでんと多く扱っていたが、 今日に至るまでお好み焼きのスタイルは変えずにいるそうだ… というか変える気がそもそも無いそうだ。
シンプルで飽きない山井さんのお好み焼きは「 あっさりしているから明日も明後日も食べれるわ」 と言っていただけている。
「昔には学校給食が無い日は、今日はお好み食べておいで、 と親に言われた子供がよく来ていました。 その子が大人になって他県に行っても、 時々また来てくれるんですよ。おばちゃん元気!?って」
「それが嬉しかったり懐かしかったり、 今日はいい出逢いがあったねえ… って思いながら勝手気ままに焼いています」
以前はどの地域でも必ず何軒かはあった地元のお好み焼き屋さん。
大好さんの所にも一時は7軒位あったが今は2軒らしい。
「まぁ、やっぱりそんな儲かりませんしねぇ。 ウチも誰が後を継ぐんね?って聞かれるんですが、 知らんのよって言っています」
広島でお好み焼きを食べる機会がある方には、 大好さんのようにおばちゃんが1人で焼いているお店に寄ってみら れる事をオススメしたいと感じている。
取材中、お持ち帰りで寄られた方に山井さんは「 今度は鉄板で食べて下さいね、全然違いますよ」 と声を掛けられていた。
(文・撮影:masa)
【取材協力】
お好み焼き 大好(だいよし)
広島市東区馬木5-1451-1
営業時間:勝手気まま(基本14:00~16:00休憩)
定休日 :不定休
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