「カープ人気の正体」
アメリカの社会心理学者、ロバート・B・チャルディーニが「影響力の武器」という著書を記しています。
内容を要約すると、人は次のの6つに多大なる影響を受けて行動するそうです。
それは、「返報性」、「希少性」、「権威」、「コミットメントと一貫性」、「好意」、「社会的証明」とされています。
その「影響力の武器」を現在のカープ人気にあてはめ、「カープ人気の正体」について考えてみました。
1.返報性(reciprocation)
「受けた恩は、返したくなる」
一見、カープ人気には関係なさそうですが、黒田博樹投手のカープ復帰後、爆発的に人気が高まりました。
黒田さんの「男気」に対して報いたいという「返報性の原理」が働いた結果ともいえそうです。
2.希少性(scarcity)
「限られたものほど、欲しくなる」
カープ人気が高まるまで、カープのチケットは当日でも簡単に手に入りました。それが、一旦入手困難となると、みんな競って欲しがるようになりました。
カープが強いから、という理由だけではなく、そこには「希少性の原理」が働いていると思われます。
3.権威(authority)
「肩書きや経験などの“権威”を持つ者に対して、人は信頼を置く」
これもカープ人気とは無関係のような気がしますが、広島県内のカープファンは「両親」や「祖父・祖母」あるいは「兄や姉」の影響でカープを応援するようになった人も多いと思います。
特に、物心つく前からのカープファンという人は「権威」の影響でカープファンになったと言えるでしょう。
4.コミットメントと一貫性(consistency and commitment)
「表明した約束を守ろうとする」
一旦カープファンであることを友人や知人に宣言すると、人は「カープファン」らしい行動を取るようになります。
そして、ユニやカープグッズなどをせっせと買い込み、自分がカープファンであることをアピールするようになります。
その結果、中身は全く同じ商品でも「カープのロゴ」や「カープ坊や」があるだけで爆発的に売れるようになります。
5.好意(liking)
「好きな人に同意したくなる」
最初は友人や知人のカープファンに連れられて、球場に足を運び、カープファンになった人は多いと思います。
付き合っていた人(付き合っている人)がカープファンだったことがきっかけでカープファンになった、という人も多いのではないでしょうか。
6.社会的証明(social proof)
「周囲の動きに同調したくなる気持ち」
つい5年前までは、球場でレプリカユニを着ている人は少数派でした。それが、今では「ユニや赤いシャツを着ていない人はカープファンではない」といった空気になっています。
更に言えば、広島の街には元々「潜在的カープファン」が多数存在し、カープが弱い時からゆるいカープファンなのです。
それが、優勝が近づくとみんなが周囲の動きに同調し、「熱狂的カープファン」に変身します。
以上、現在の「カープ人気の正体」は特に、2.「希少性」、4.コミットメントと一貫性、6.「社会的証明」が連鎖して起きている「社会現象」だと考えられます。
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